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Channel: Club SKRAM ~もはねの小部屋~
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所有事業者:はとバス (東京)

使用・用途:一般路線 (定期観光) 仕様

登録番号:品川22 か 2681

社番:283号車

初年度登録:1982年

シャシーメーカー:ドレクメーラー社 (西ドイツ~※)

搭載エンジン:ダイムラーベンツOM422A型

車体架装:ドレクメーラー社 (西ドイツ)

車両型式:E440

車名:ドレクメーラー・メテオール

撮影日:1989年7月30日 (日曜日)

撮影場所:皇居前広場駐車場

※・・便宜上呼称


はとバスは3年前から、二階建てバスの需要に対応するため、2009年の三菱ふそうエアロキング以来、7年ぶりに二階建てバスを導入しましたが、国産車はそのエアロキングが2010年に生産を打ち切って以降、世に出ていないため、はとバスは苦渋の選択で輸入車に活路を見いだすことになります。それがベルギーのバンホール社。はとバス自身も開発に参画し、スウェーデンのスカニア製シャシーにバンホールのボディを架装した 「アストロメガ」 を登場させることになります。はとバス以外でも二階建てバスの再登場は待ち望んでいたようで、はとバスの他に東京ヤサカ観光バス、ジャムジャムエクスプレス、京成バス、そしてJRバス関東が採用に踏み切りました。JR以後は採用例が無いみたいですが、国産メーカーも再び二階建てバスの開発を期待したい・・とは、以前、このコーナーでもお伝えしました。

さて、画像はそのはとバスにおける二階建てバスの第一期生である、西ドイツ (当時) 製のドレクメーラー社製の 「メテオール」 です。
1980年代、急激に訪れた二階建てバスブーム。しかし、そのブームの主役はいずれもネオプランを始めとする輸入車達でした。ネオプランが成功したことによって、欧州の各メーカーはこぞって日本に売り込みを図ってきましたが、国産メーカーも二階建てバスの開発に着手したかったのは言うまでもありません。しかし、当時の日本の法規では、二階建てバスを開発する技術的な構造要件というのが法規として文言化されていなかったため、 「何処から何処までが・・」 という明確な基準が無かったんですね。ただ「全高3.8m以内」 という高さ制限があったのみで (この高さはバスが由来ではなく、海上コンテナの関係による) 、ネオプランやバンホールといった欧州車はこの基準をクリアした、 「日本仕様」 をわざわざ製作して日本に輸出しています。

しかし、国産メーカーは消極的でした。特にいすゞは 「3.8m以内」 では、居住性に問題を抱えると始めから二階建てバスの開発は行わず、昵懇の間柄だった伊藤忠商事と手を組み、ドレクメーラーとコンタクトを取ってメテオールを輸入、はとバスに導入しました。

はとバスのメテオールは、定期観光バスに充当されたことも大いに話題になりました。
当時の二階建てバスといえば、観光バスのフラッグシップとして貸切事業者に多く導入されていましたが、定期観光バスは決められたコースを走る 「乗合バス」 の範疇・定義に組み込まれます。その前年に、東京都交通局が上野と浅草の間に定期運行の二階建てバスを走らせましたが、はとバスは二例目になるのかな? その後、横浜市交通局や大阪市交通局 (現、大阪シティバス) などでも二階建てバスの路線バス (定期観光ですが) が走るようになりました。

ただ、ドレクメーラーの場合、どうしてもいすゞ系に偏ってしまう傾向があり、ネオプランの牙城を崩すというところまではいきませんでした。知られたところでは、東京ヤサカ観光バス、大阪市交通局、長崎自動車、日立電鉄などが挙げられますが、1993年頃に再登場したメテオールは、はとバスのみの採用だったと記憶しています。
この頃の輸入二階建てバスの多くがダイムラーベンツ製のエンジンを搭載しており、車によっては、ベンツのシンボルマークである 「スリー・ポインテッド・スター」 がフロントやリアに貼付されている例もあり、何も知らない人から 「ベンツのバスだ」 と勘違いされることも。 「当たらずも遠からず」 なんですけど、確か、メテオールにもリアにスリー・ポインテッド・スターが付いていたように記憶しているんですけど・・・。

なお、輸入車の場合、国産車のようにシャシーを製造するメーカーと車体を製造するメーカーとの 「分業」 が明確化されていませんが、ドレクメーラーはあくまでもコーチビルダー、つまり車体屋さんです。シャシーまでは製造していなかったように思うんですが、ここでは便宜上、シャシーもドレクメーラー社の手によるものと判断していますので、ご了解下さい。

はとバスのドレクメーラーは初代も二代目も既に退役しているはず。屋根をぶった切られたグループもいませんよね?
何年かして、スカニア・アストロメガも屋根をぶった切られてしまうのでしょうか・・・?


【参考文献・引用】
BUSRAMA EXPRESS No.11 「The King -エアロキングの四半世紀-」 (ぽると出版社 刊)
ウィキペディア (ドレクメーラー、はとバス、二階建てバス)

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