東京生まれの東京育ちである私にとって、赤い交流電機が牽く旧型客車列車は 「おとぎ話」 の世界でしかありませんでした。
私が物心ついた時の東京は既に近代化が進んでおり、右を見ても左を見ても電車列車ばかり。客車列車といえばブルートレインしか思い出されません。上野駅に行けば、10系客車や43系客車で組成された夜行急行や、東北、高崎、常磐の各線に僅かながら残っていた客車による普通列車もあるにはありましたけど、それはもう少し大人になってからその存在を知りますので、その頃は 「乗ってみたい」 と思うことはありませんでした。
そういえば、客車列車の先頭に立つED75も殆ど “死に体” 状態になっているとのこと。
東北地方を中心に、 「犬も歩けばED75にあたる」 的に至極普通に見られたED75も後継のEH500やEF510に追いやられてしまい、貨物列車の牽引、即ちJR貨物が所有する機関車は既に全廃されているらしく、JR東日本に首の皮一枚程度に残っているだけのようです。それも画像のような0番代は過去帳入りしており、残存しているのは全て700番代です。
定期運用はなく、工事列車の牽引がたまにあるだけ。まぁ、それは 「老人が近所を散歩する」 ようなものなんでしょうね、きっと。
子供の頃に、いわゆる 「鈍行列車」 の存在を知ってて (あっ、常磐線の客車普通列車は見たことありますよ) 、その希少価値が理解出来ていれば乗ってみたいと思ったのでしょうけど、残念ながら当時の私はブルートレインが全てだと思い込んでいて、旧客を使った夜行列車や鈍行列車の偉大さを理解出来ていませんでした。
今も上越線でしたっけ? SL牽引の列車に 「レトロ客車」 と言われる旧客が使われていますが、 「雰囲気を味わう」 という意味では格好のコンテンツなんでしょうけど、乗降用扉を開放出来ないなどの制約に雁字搦めにされて、旧客本来の醍醐味は味わえないですね。汚物処理機能が無いから便所も使えないと聞きましたけど (旧客は本来、垂れ流し) 、そうしたら興味は薄れますね。
やはり、乗降用扉を開けたままで、編成端部の貫通扉も開放にして走らないと 「旧客の醍醐味」 は到底理解出来ないですよね。上越線のレトロ列車も乗客の自己責任で、万が一の事態が発生してもJRに責任を負わせないという誓約書を書かせて、乗降用扉を開けっ放しにして走らせてみたらどうですか?
【画像提供】
タ様
【参考文献・引用】
ウィキペディア (国鉄ED75形電気機関車)