私が撮りバスを始めた30年前、東京で西工ボディのバスを見るのは殆ど無く、雑誌とかでその存在を知るに留まっていました。勿論、九州を始めとする西日本地域のバス利用者とバスマニアからすれば、珍しくも何ともないとは思いますけど、30年前の東日本地域で西工を採用した事業者は皆無に等しかったです。一時期、京成電鉄の子会社である京成車体工業と技術提携をして、西工と同一の車体を架装したことがありましたが、それも京成系のバス会社に納入されただけで、東日本全体に普及・波及したということはありません。
ただでさえ、東京で西工ボディにお目にかかるのが至難だったのに、それがC-Ⅱボディとなると、その確立はさらに低くなります。後年、2000年代に入って西工ボディが全国レベルで見られるようになり、私自身も大阪を始めとする西日本地域にはちょくちょく足を運ぶようになりましたが、C-Ⅱボディを架装した車は最後まで見ることはありませんでした。
C-Ⅱボディは、別称 「ステップアップルーフ」 とも呼ばれ、バス後部がルーフアップ (嵩上げ) されているのが大きな特徴で、1982年4月から生産を開始、実際にユーザーに納入して運行を開始したのは翌年のようです。
ボディスタイルも58MC、92MCと受け継がれましたが、いつ頃生産が中止になったのかは詳細な記述がなされていませんでした。ただ、大分の別府はとバスがKL代のセレガシャシーでC-Ⅱを架装したらしいので、2000年代までは生産はされていたみたいですね。移籍車では存在するのでしょうけど、東日本の事業者で新車からC-Ⅱを採用した例は無いようです。
画像の車は、下津井電鉄が採用したC-Ⅱボディ架装車。
1988年式ということで、さすがに退役はしていると思いますが、この頃の下電は、同じC-Ⅱボディ架装車ながら、シャシーはいすゞを除く3メーカーそれぞれ導入しまして、一見すると、日野なのか三菱なのか、はたまた日産ディーゼルなのか判別が難しいです。ただ、三菱と日産ディーゼルは公式側 (乗降側) 後部にエンジンルーバーが設置されないので、画像の車は必然的に日野になります。
夏、冬、春の休み時にディズニーランドに足繁く通っていれば、もしかしたら1~2回はC-Ⅱボディ架装車を撮れたかもしれませんね。
まだ、持っている事業者はあるんでしょうか・・・? また、東京とか関東とかの事業者でC-Ⅱは見られるんでしょうか? 識者の見解をお待ちしております。
所有事業者:下津井電鉄 (岡山)
仕様・用途:観光貸切仕様
愛称:EAGLE
登録番号:岡山22 か 2873
社番:E-882号車
配置:興除営業所
初年度登録:1988年
シャシーメーカー:日野自動車
搭載エンジン:日野EF750型
車体架装:西日本車体工業
車体型式:西工58MC C-Ⅱ
車両型式:P-RU638BB
1990年、大阪・国際花と緑の博覧会会場
撮影者:ウ様
【参考文献・引用】
BUSRAMA SPECIAL No.10 「西工の軌跡」 (ぽると出版社 刊)
バスマガジンスペシャル 「ユーザー系バスボディ完全ガイド」 (講談社ビーシー社 刊)
ウィキペディア (西日本車体工業)