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Channel: Club SKRAM ~もはねの小部屋~
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今日の1枚・321

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事業者名:新富観光サービス(富山)

仕様・用途:観光貸切仕様

登録番号:富山22 こ ・146

シャシーメーカー:いすゞ自動車

エンジン型式:いすゞ10PC1型

ボディ架装:富士重工伊勢崎

ボディ型式:富士重15型HD-2 UFC

車両型式:P-LV719R

車名:いすゞスーパークルーザーUFC

撮影日:1990年8月21日(火曜日)

撮影場所:東京ディズニーランド

私の記憶が確かならば、初めて撮ったスーパークルーザーUFCかと思われます。

日産ディーゼルスペースウィングSVDや三菱ふそうエアロクィーン・靴相次いで登場した時期は、バス撮影については段々と飽きが生じていた時期とリンクしていまして、 「へぇ~、日デやエアロ (三菱) にもUFCが出たんだぁ~」 という漠然とした感想だけしか持たず、 「撮りに行くべ」 とはなりせんでした。だから今でも、国産車におけるアンダーフロアコクピットバスといえば、このいすゞスーパークルーザーUFCというイメージが拭いきれません。

日本中がバブル経済に浮かれていた1989年にスーパークルーザーのバリエーションとしてUFCは登場しました。当時、運転席と客室が分離したレイアウトを持つバスと言えば、ネオプランやケスボーラといった輸入車が中心でしたが (二階建てバスについては、取りあえずは運転席と客室は分離していないので、ここでは割愛) 、国内では初のケースになります。

1980年代前半の二階建てバスブームがきっかけで、国内のバスメーカーは高床化に向けて足並みを揃えていき、ダブルデッカーやスーパーハイデッカーなどが相次いで販売される状況でした。しかし、いすゞだけは二階建てバスの開発はせず、協力関係にある伊藤忠商事を介して西ドイツ (当時) のドレクメーラーから 「メテオール」 という二階建てバスを輸入していすゞをメインにした事業者に導入されていました。
当時は国産車、輸入車問わず、高床化に伴って安定性を確保するために後輪二軸の三軸車が中心でしたが、コストの関係や小回りが効かないなどの理由で、後輪二軸のスーパーハイデッカーは徐々に敬遠されていくようになります。そんな中、いすゞは後輪一軸のスーパーハイデッカーを独自に開発を進めていました。課題となるのはやはり車両の安定性確保。車高が高くなる分、どっしりと構えながら走る必要があります。そこでいすゞはフロントオーバーハングを延長してホイールベースを短縮するという新たなレイアウトを持つシャシーを開発、そこに川崎重工グループから独立したアイ・ケイ・コーチ製の新型ボディを架装した 「スーパークルーザー」 を1986年に販売しました。
スーパークルーザーはまず、スーパーハイデッカーが先行して販売を開始し、翌年にハイデッカーが追加販売されました。また、富士重工製ボディも架装されるようになり、スーパークルーザーのバリエーションが一気に拡がります。

スーパークルーザーがデビューしたのも束の間、いすゞはスーパークルーザーの次なるバリエーションの開発に着手していました。それは輸入車に委託していたような形になる床下運転席構造のレイアウトを持つモデルの開発でした。前述のように、国内メーカーでいすゞだけが二階建てバスには参入していませんでしたが、いすゞは二階建てではなくて、アンダーフロアコクピットを本命と位置付けて開発していました。
アンダーフロアコクピットのメリットは、床下に運転席を設けることによって客席が増やせるだけでなく、居住性にも優れ、何よりも二階建てバスと同等の前方視界が確保出来ることが挙げられ、瞬く間に各社のフラッグシップとして採用が進みました。特に大阪地区では西日本JRバスや中央観光バス (→ジパング) を中心として大量に導入され、一時代を築きました。

画像の新富観光サービスは富山市に本社を持つ貸切事業者で、スーパークルーザーUFCの初期導入者として知られています。事業の縮小や撤退・統合が相次ぐ貸切事業者にあって、新富観光はそういった暗いニュースを尻目に健全な事業を展開しています。創業ももうそろそろ50年になろうかというので、老舗に入るかと思いますが、これもまた “良い時代” の車です。

【参考文献】
バスラマインターナショナル No.116、117 (ぽると出版社 刊)
新富観光サービス公式ホームページ
ウィキペディア

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