第552回放送 (1988年10月6日)
東京は1日中雨だったようです。まだ自粛ムードはそんなんでもなかったようで、世の中は平和でした。
今回の 「ザ・ベストテン」 は年に1回の地方出張中継で、今回は鹿児島からでした。私の記録にもそんなことがしっかりと書いてありました。ということは、観ていたんだね・・・。
ではまず、各部門のランキングから見てみましょう。
【レコード総合売り上げベストテン】第1位:MUGO・ん・・・色っぽい/工藤静香第2位:DAYBREAK/男闘呼組第3位:HAPPY AGAIN/酒井法子第4位:旅立ちはフリージア/松田聖子第5位:あぁ、グッと/近藤真彦第6位:セシル/浅香唯第7位:Begining/CHA-CHA第8位:Virgin少年に接吻を/生稲晃子第9位:彼女とTIP ON DUO/今井美樹第10位:人魚姫 (マーメイド) /中山美穂【有線放送ベストテン】第1位:MUGO・ん・・・色っぽい/工藤静香第2位:人魚姫 (マーメイド) /中山美穂第3位:ANGEL/氷室京介第4位:夢おんな/桂銀淑第5位:セシル/浅香唯第6位:想い出迷子-2/チョー・ヨンピル第7位:SUMMER CANDLES/杏里第8位:共犯者/矢沢永吉第9位:DAYBREAK/男闘呼組第10位:滝の白糸/石川さゆり【ラジオ総合ベストテン】第1位:DAYBREAK/男闘呼組第2位:セシル/浅香唯第3位:人魚姫 (マーメイド) /中山美穂第4位:MUGO・ん・・・色っぽい/工藤静香第5位:旅立ちはフリージア/松田聖子第6位:あぁ、グッと/近藤真彦第7位:かっこつかないね/田原俊彦第8位:彼女とTIP ON DUO/今井美樹第9位:SEVEN DAYS WAR/TM NETWORK第10位:Diamondハリケーン/光GENJI【はがきによるベストテン】第1位:DAYBREAK/男闘呼組第2位:あぁ、グッと/近藤真彦第3位:Diamondハリケーン/光GENJI第4位:かっこつかないね/田原俊彦第5位:人魚姫 (マーメイド) /中山美穂第6位:Begining/CHA-CHA第7位:彼女とTIP ON DUO/今井美樹第8位:HAPPY AGAIN/酒井法子第9位:MUGO・ん・・・色っぽい/工藤静香第10位:セシル/浅香唯
このような結果になっています。このデータをコンピュータにインプットして割り出されたのが今週の総合ベストテンということになります。
さて、冒頭でもお伝えしたように、今回の地方中継は鹿児島から。鹿児島港の特設スタジオからお届けしますが、オープニングがやけに明るいので、スタートは何時からだったんでしょうか?
オープニングは松下アナと黒柳さんが鹿児島の名所・旧跡を案内していました。また、アシスタント役として地元・鹿児島のラ・サール高校出身のラサール石井が加わりました。
では、今週の総合ベストテンを発表しましょう。
第1位:DAYBREAK/男闘呼組 ① 94631
第2位:MUGO・ん・・・色っぽい/工藤静香 93671
第3位:あぁ、グッと/近藤真彦 83633
第4位:人魚姫 (マーメイド) /中山美穂 81001 (レコーディングのため)
第5位:セシル/浅香唯 80981 (東京・麻布から)
第6位:旅立ちはフリージア/松田聖子 80611 (ドラマの撮影のため)
第7位:HAPPY AGAIN/酒井法子 7660 初第8位:彼女とTIP ON DUO/今井美樹 7465 初 (東京・目黒のスタジオから)第9位:Begining/CHA-CHA 70931
第10位:かっこつかないね/田原俊彦 59313
第11位:Virgin少年に接吻を/生稲晃子 5831第12位:KOME KOME WAR/米米CLUB 5297第13位:港の五番町/五木ひろし 5036第14位:さよならのリフレイン/吉田真里子 4800第15位:微笑みに乾杯/安全地帯 4497第16位:ANGEL/氷室京介 4437第17位:SEVEN DAYS WAR/TM NETWORK 4192第18位:SUMMER CANDLES/杏里 3671第19位:Heart And Soul/浜田麻里 3363第20位:Diamondハリケーン/光GENJI 3063スポットライト:UP BEAT 「Dear Venus」あすか組 「悲しげだね」浜田麻里 「Heart And Soul」
男闘呼組がついに1位を獲得します。初登場からなかなか1位に上がれず、視聴者からも 「何で?」 という声も寄せられていたんですが、ご存じのように 「ザ・ベストテン」 では、レコードの売り上げ、有線放送のリクエスト、ラジオのリクエスト、そしてハガキのリクエストという4要素が上位に入らないと1位を獲るのは難しい。男闘呼組の場合、レコード、ラジオ、はがきは上位でも有線がなかなか上向かないので、 「有線が上位に入れば、1位になれる可能性がある」 と以前に松下アナが言及していましたが、1位を獲れたのは有線が上向いたからなのかなと思ったりします。1位記念に 「男闘呼組」 の文字を模った薩摩揚げをプレゼントしました。
男闘呼組が1位を獲ったことによって、中山美穂の 「初の三たび返り咲き」 は絶望的になりました。今回も4位に後退ですからね。
その中山美穂はレコーディングの追い込みでどうしても来られないという理由だったのですが、参加者の一人は 「美穂ちゃんも新幹線も来ないなんて・・・」 とえらい落胆ぶり。でも、その16年後 (当時計算) に新幹線が鹿児島に来るのをこの女性は想像したでしょうか?
工藤静香の 「MUGO・ん・・・色っぽい」 は歌の途中で何やらブツブツいうシーンが話題になっていますが、そのセリフについては工藤静香自身による完全なアドリブだそうで、その時によってセリフが変わるのだとか。そこで前回、鹿児島でランクインしたら工藤静香が育てたドライフラワーを来場者にプレゼントすることを言及していましたが、 「プレゼントの方法をそれにしよう」 ということで、歌の途中で言うセリフを来場者に推理して、当たった人にあげることになりました。読唇術が問われるクイズですけど、今回は「今日は鹿児島に来れてとても嬉しいです。帰り、薩摩揚げを買って帰りたいと思います」でした。当たった人はいませんでしたが、選出した来場者にドライフラワーをあげていました。
マッチは義理堅く鹿児島まで来ましたが、さすがエンターテイナーですね。
そうそう、この頃私が淡い恋心を抱いた、バス好きのきっかけになった鹿児島交通 (当時) のバスガイドさんはマッチの大ファンでした。その女 (ひと) もマッチを見にこの会場に来ていたのかな?
浅香唯はドラマの撮影で東京にいまして、宮崎出身なのに鹿児島に行けないということで残念がっていましたが、代わりに鹿児島には浅香唯の母親氏が駆けつけていました。そしてもう一人老婦人が。その人は、浅香唯が生まれた時に実際に胎児 (浅香唯) を取り上げた助産婦さんだそうです。
松田聖子はやはりドラマの撮影で鹿児島の方には来ませんでした。ならば、 「電話でメッセージを」 という手段を採ろうとしましたが、電話に出たのは松田聖子のマネージャー氏。 「撮影が佳境に入っていて、(電話に出るのが) ちょっと無理」 とのことでした。会場からは大きなブーイングが・・・。
酒井法子の新曲が7位で初登場したほか、今井美樹が満を持して 「ザ・ベストテン」 初登場となります。
今井美樹は俳優のイメージが強いですけど、デビューはモデルです。その後、俳優として映画やドラマに出演するようになり、1986年に歌手デビューします。代表曲はやっぱり、後の旦那になる布袋寅泰がてがけた 「PRIDE」 なんでしょうけど、それはもっと後になってから。この 「彼女とTIP ON DUO」 は、化粧品メーカーのCMソングに起用されたことからヒットに繋がりました。なお、今井美樹は昨年8月にスポットライトに出演していて、1年の時を経てランクインしました。
5位から8位まで九州出身の歌手が並びましたが (浅香唯と今井美樹が宮崎、松田聖子と酒井法子が福岡) 、鹿児島まで来たのはのりピーだけでした。
CHA-CHAはやっぱり、どうしてもお笑いのイメージが先行してしまいます。プロデュースが欽ちゃんだから? でも、かつてはイモ欽トリオやわらべといったアイドルも輩出しているだけに、欽ちゃんの手腕は定評があるんですけど、CHA-CHAにはそのアイドルとしてのオーラが感じられませんでした。勝俣州和がいたから?
トシちゃんは出演をしなかったのですが、その理由は明らかになっていません。
「スポットライト」 は3組。
まずは、全然記憶に無いUP BEATというバンド。1981年に結成しましたが、そこからレコードデビューまでに5年を要し、1986年に今は懐かし12インチシングルの 「Kiss・・いきなり天国」 でメジャーデビュー。翌1987年にリリースされた 「KISS IN THE MOONLIGHT」 がドラマの主題歌に起用されて注目を集めますが、1990年にギターとベースが脱退し、3人で活動を続けるも、1995年に解散しますが、この中からメジャー級の活動をしたというメンバーはいないし、この 「Dear Venus」 は、特にタイアップ等はしていないみたいですね。だからあまり記憶も薄れる。
あすか組は何となしに聞いたことがありますが、詳細は全く不明。
マンガ (アニメ) から派生したアイドルユニットで、その作品で事実上、2ユニット存在するようです。
今回は実写ドラマで誕生したもので、こっちの方がメンバー的にメジャーなのかなという気がします。なんてったって、石田ひかりがいましたからね。他にも小沢なつきや小高恵美もいましたので、さらにこの 「悲しげだね」 がドラマの主題歌に起用されたことでさらに注目もされます。
そして今回のスポットライトの中ではもっともメジャー級だったのが浜田麻里。
SHOW-YA、中村あゆみ、プリンセスプリンセス・・と、1980年代に活躍した女性ロッカーは数多おりましたが、歴史的にはSHOW-YAが一番古く、ソロシンガーとしては中村あゆみの方が若干デビューが早かったりしますけど、ただ中村あゆみは歌手志望ではなかったようなので、そういう意味では浜田麻里がロックボーカリストの草分けじゃないかと思ったりします。浜田麻里は何と言ってもその声質。結構ハイトーンですよね。 「女性だから・・」 と言ってしまえばそれまでなんですけど、ロックはとかく、ハイトーンボイスが求められることが多いので、浜田麻里にとってはうってつけだったとも言えるでしょうね。
なお、UP BEATは桜島から、あすか組は本土と桜島とを結ぶ船の上から、そして浜田麻里は鹿児島のスタジオからそれぞれ中継と相成りましたが、石田ひかりが若いっ!
それにしても、せっかく厳しい競争率を勝ち抜いてチケットをゲットしたにもかかわらず、そしていくら歌手のスケジュールの調整がつかないからといって、出演しない歌手が多すぎ。そりゃあ、参加者がブーイングが出るのも無理ないですよね。逆にこの頃から 「ザ・ベストテン」 の求心力が低下しつつあるのも実感として湧いてくるのであります。