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Channel: Club SKRAM ~もはねの小部屋~
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所有事業者:中央交通バス(大阪)

仕様・用途:夜行高速路線仕様

登録番号:大阪200 か 4174

配置:八尾営業所

初年度登録:2016年

シャシーメーカー:日野自動車

搭載エンジン:日野E13C(ET-X 此坊拭羨┌院

車体架装:ジェイ・バス小松

車両型式:QRG-RU1ESBA(※2)

車名:日野セレガ・ハイデッカ

撮影日:2018年3月31日(土曜日)

撮影場所:中央区築地・万年橋

※1:搭載エンジンはA09C型の可能性あり。
※2:車両型式はQTG-RU1ESBAの可能性あり。


あくまで個人的私見ですが、大阪の中央交通は大阪を代表する貸切事業者だと思い込んでいました。大阪の貸切事業者は数多ありますが、何故か大阪の観光バスっていうと、中央交通か中央観光バスかのいずれかが登場していたので、やっぱり大阪を代表する貸切事業者なんですよね。但し、1980年代までの話。
企業の大元は、1927年に創業したタクシー会社なので、それから考えると、実に90年余りの歴史を有する老舗事業者ということになります。企業体としての中央交通は1949年に設立され、バス事業に手を染めたのは1964年ですので、バスだけの歴史であれば比較的浅くなります。

しかし、中央交通を一躍、有名にしたのは、何と言ってもネオプラン製のバスを日本で初めて持ち込んで営業運転に就かせた事業者であること。当時、ずんぐりむっくりのモノコックバスが主流だった国内 (国産) のバス。そこにスラッと背の高い、鼻筋の通ったイケメンの “異人さんバス” が突如として現れたのだから、そりゃあ、風穴も開くでしょう。おまけにベンツ (ダイムラーですけど) 製エンジンを搭載しているとあって、ネオプランのバスはまさに 「バス界の黒船」 だったんですね。
その際に登場したのは、N116/3 「シティライナー」 で、今でいうところのスーパーハイデッカ-。しかし、当時の日本には 「スーパーハイデッカー」 の名称 (愛称?) 及びカテゴリーは存在せず、観光バスでもアイポイントは今のバスに比べたら格段に低いものでした。N116/3 「シティライナー」 は、二階建てバスに匹敵するアイポイントを持ち、しかも二階建てバスよりもヘッドクリヤランスが高いから居住性は抜群で、一部に日産ディーゼルのエンジンを搭載した個体もありましたが、基本的にはダイムラー製のエンジンだったこともあって、たちまち大ブレイク。1979年には二階建てバス 「スカイライナー」 も登場して、ネオプランのバスは国産のバスを時代遅れにしてしまいました。
本当の本当の理由は異なると思いますが、一時期、国鉄大阪鉄道管理局が渾身を込めて投入した新快速用の117系電車に 「シティライナー」 という愛称を付けましたけど、その由来になったのがネオプランの 「シティライナー」 ではないかと言われていました。登場時期も似ているし (ネオプランN116が1977年で、117系が1979年) 、双方大阪であることを考えれば、その説も決して間違っているというわけではないとは思います。


以来、中央交通はネオプランの日本総代理店としての肩書きも持つことになり、シェアを広めていく立役者となるのですが、中央交通自体もネオプランが主力となり、1980年代は国産車の組織率は低かったように思われます。
冒頭でもお伝えしましたが、同じ時期に大阪には 「中央観光バス」 という事業者が存在しました。こちらも輸入車を多く導入した事業者として特筆されますが、中央交通とは無関係。加えて輸入車、特にネオプランの輸入に際しては、妨害と呼ぶほどではないにしても、商戦的にはかなり激しいバトルを繰り広げたという伝説が残されています。
中央観光バスが誰もが振り向く豪華絢爛のバスを次々と導入していたのに対し、中央交通はそういう意味で言えば堅実派で、ネオプラン主体とは言っても、内装的には比較的落ち着いていて汎用性がありました。ある人の話によれば、中央観光バスはセレブや成金といった富裕層が顧客の中心だったそうですが、中央交通は汎用性が高いせいか、誰でも気軽に乗れるバスということで、顧客層も至ってシンプル。もしかすると、そこが両社を巡る運命のわかれ道だったのかもしれませんね。中央観光バスはバブル崩壊後の団体旅行の減少と時代時代の変化に打つ手を失って2001年に事実上の倒産という憂き目に遭います。これに対して中央交通は、21世紀が始まった辺りから雨後の竹の子のように現れた高速ツアーバスに目を付け、その事業を行うべく (設立の本質は違うのでしょうが) 、2001年に100%出資のローレル観光バスを設立して高速ツアーバス事業に手を染めます。その頃はウィラートラベルが主催するツアーに参画していましたが、当時のウィラーの参画事業者に対する扱いは 「穢多・非人」 以下だったらしく、新たな活路を見出したかのように見えましたけど、憂き目という点ではこちらも一緒なのかなって気がしました。

ネオプランの導入は、2005年を最後に事実上打ち切られ、以降は国産車が中心となります。ネオプランと並行して導入されていた時も日産ディーゼルがメインだったように記憶していますが、国産車がメインになった時も日産ディーゼルを中心に、日野を選択する動きが目立っています。ツアーバスを運行するローレル観光バスには、親会社から転入した中古のネオプランが多く稼働し、また他社からネオプランの中古がやって来るなど、再びネオプラン色が濃くなりつつありましたが、日本で初めてネオプランを導入し、尚且つ総代理店まで任されたことを考えると、 「中古かよっ!?」 的な嘆きを含めた隔世の感を抱かずにはいられません。

2013年に高速ツアーバスは規定をクリアした業者が 「高速乗合バス (新高速バス) 」 に参画出来て、ローレル観光バスはその規定をクリアして高速乗合バス事業に参画し、ほぼ同時に社名を 「中央交通バス株式会社」に変更しました。

昨年でしたか、衝撃的なニュースがバス業界とバスファンの間に駆け巡りました。東京の日の丸自動車興業が中央交通を傘下に収めたというニュースは、まさに激震そのもの。日の丸自動車興業といえば、いつだったか、京都の明星観光バスを傘下に収めて子会社化して、関西地方における営業シェアの拡大を目指しましたが、大阪における貸切事業者の雄である中央交通を子会社にするとは、誰もが驚いたことかと思います。日の丸自動車興業といえば、東日本地区におけるネオプラン車導入の最右翼として名を馳せており、今も一部が残存しています。 「東の日の丸、西の中央交通・中央観光」 と言ったかどうかはわかりませんが、その東西の雄がタッグを組むというのは、やっぱり驚きですよね。
そして今年の春から大阪に 「West Coast」 カラーのエアロエースが走り始めたそうですが、きっと違和感タップリなんでしょうね。

車体全体にキューブ状の模様をあしらったデザインは同一だと思いますが、親会社の中央交通はベースの色が紫 (濃い青?) であるのに対し、中央交通バスは白地。これで識別するのかなって気がします。なお、データ上では12.9ℓエンジンを搭載するQRG-RU1ESBAとしていますが、もしかすると、8.9ℓエンジンを搭載するQTG-RU1ESBAである可能性もあります。もし、後者が正しかったらその段階で訂正しますので、識者の見解をお待ちしております。

それにしても。白地に緑のストライプが入った1980年代のカラーリングの方が良いなと思うのは私だけでしょうか・・・?


【参考文献・引用】
年鑑バスラマ 2016→2017 (ぽると出版社 刊)
ウィキペディア (中央交通、中央観光バス、ネオプラン、ネオプラン・シティライナーなど)

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