素人目には 「同じ編成が二度と組めない」 としか思えない名古屋地区の快速電車、通称 「中京快速」 。153系、155系、159系、165系といった急行用電車を使い、それに湘南色、修学旅行色、一時期ではあるけど新快速色も加わり、さらに冷房の有無もありますので、多彩な編成バリエーションが存在し、まさに「列車界の寄せ鍋」あるいは 「列車界の闇鍋」といった趣の列車だったりします。まぁ、そんな形容も素人だからそんな風に捉えるのであって、中京快速フリークや現場の人達にしてみれば、きちんと理論があって、理論に基づいてフォーメーションを組んでいるのだろうと察します。
「嗚呼・・国鉄時代」 では、随分前に中京快速を取り上げたことがありましたが (No.191) 、今回はその第二弾となります。
画像をご覧頂いてお判りのように、先頭がクハ153で、次位が155系となります。なお、私の記憶が確かならば、155系と159系に冷房改造車は存在しなかったと思われます。したがって、先頭車は153系であることが判ります。もしかすると、クハ164かもしれませんけどね (クハ164には冷改車あり) 。そして中間にクハ155とサハ153が組成されているのが見えますが、サハ153は冷房車であります。撮影場所は何処だか判りませんけど、名古屋近辺ではあるようです。因みに画像奥が名古屋方面、手前が豊橋方面となります。名古屋方の先頭車は陸橋で隠れているので、クハ153なのかクハ155なのか、はたまたクハ159なのかはハッキリとしません。
この列車は冷房付きではあるけど、冷房は作動するのでしょうか?
この鍵を握るのが中間に組成されているサハ153でして、基本的に電動発電機 (MG) を装備した200番台であれば、冷房作動は可となります。サハ153は意外に複雑な家庭事情を抱えており、落成当初0番台 (1~10) は電動空気圧縮機 (CP) を備えていましたが、CPの有無で番台区分されることになり、CPの無い車両を0番台、ある車両を100番台としました。その関係で、1~10は改番されてサハ153-101~110になりました。そして新たにCPを持たないサハ153を製造しまして、これに1~11の番号を付与しました。後に新造されたCP付きサハは111~116の追番となりました。次いで登場した200番台はCPの他にMGも取り付けられました。冷房改造に伴って、0番台や100番台の一部の車両には、MGやCPを後付けしたものも存在し、特に中京快速を担当した大垣電車区 (名カキ~現在のJR東海大垣車両区) 所属の車両に多く見られました。
中京快速は奥が深すぎて、どんな編成で来るのか皆目見当が付かないのが魅力だと言う人がいました。しかし、昭和50年代中盤になって155系や159系が相次いで引退して、編成も些か単調になりました。165系と153系の混結 (両形式は互換性があったんですね) がメインとなり、冷房・非冷房の混結は引き続き見られましたが、新たに新快速運用から離脱して宮原電車区 (大ミハ~現在のJR西日本網干総合車両所宮原支所) から大垣に来た新快速色の153系 (含、クハ165) が加わりました。その結果、湘南色と新快速色の混結が名古屋でも見られるようになりましたし、修学旅行列車 「こまどり」 は159系引退後も継続して運転されていて、同形式引退後は153系が引き継いだ関係で、塗り替えが行われていない宮原からの転属車も組み込まれることもありました。即ち、新快速色の車両が東京にも来たことになります。
私もリアルタイムで中京快速は見たことがありませんが、残念ながら名鉄パノラマカーの敵ではなかったようで、名古屋鉄道管理局も特に大きなアクションは起こしませんでした。しかし、関西の新快速用に登場した117系が名古屋鉄道管理局を本気にさせたのかもしれませんね・・・。
【画像提供】
は様
【参考文献・引用】
鉄道ピクトリアル No.707 (電気車研究会社 刊)
ウィキペディア (国鉄153系電車)
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