事業者名:西日本鉄道(福岡)
使用・用途:都市間長距離夜行高速路線仕様(高速「ムーンライト」号に充当)
登録番号:福岡200 か 1985
社番:4403号車
配属:博多営業所
初年度登録:2008年式
シャシーメーカー:三菱ふそうトラック・バス
エンジン型式:三菱6M70型
ボディ架装:三菱ふそうバス製造
車両型式:BKG-MS96JP
車名:三菱ふそうエアロクィーン・ハイウェイライナー
撮影日:2014年8月24日(日曜日)
撮影場所:新大阪・阪急高速バスターミナル
国鉄バス (→JRバス) の 「ドリーム号」、京浜急行電鉄 (→京浜急行バス) と弘南バスの 「ノクターン号」とともに、日本の夜行高速路線バスの “三大レジェンド” として、現在に通じる夜行高速路線バスの基礎を築いたのがこの 「ムーンライト号」であります。複数の事業者で運行する 「共同運行方式」 や、運賃収入を一旦プールして、走行距離に応じて事業者に配分する 「プール精算方式」 、そして 「独立3列シート」 をそれぞれ初めて採用したのも 「ムーンライト」 であり、以降運行される夜行高速路線バスはこの方式を採用することになります。だから、今の夜行高速路線バス (ツアーバス上がりも含む) はこの “三大レジェンド” に足を向けて寝ることは出来ません。なお、 「ノクターン」 は、それまでの夜行高速バスが東京-名古屋・大阪だったり、あるいは大阪-福岡のように、大都市と大都市を結ぶのが一般的だったのに対して、初めて大都市 (東京) と地方都市 (弘前) を結んだ路線として広く知られています。国鉄 (JR) の夜行列車よりも安価だったことから、「ノクターン」 は大いに受けまして、 「ノクターン」 成功後、軒並み大都市と地方都市を結ぶ夜行バスが登場。ここに 「第1次高速バスブーム」 が巻き起こることになるのです。
元々、 「ムーンライト」 が登場した背景には、国鉄が大阪-九州間に運行していた夜行急行 ( 「阿蘇」 「くにさき」 「西海」 「雲仙」 ) の廃止が直因とされています。勿論、 「あかつき」 や 「明星」 といった寝台特急もありましたけど、座席のみでよりリーズナブルな急行を支持する利用客も多く、 「ムーンライト」 が運行したのは、そういった夜行急行の穴を埋める目的もあったと聞きます。時に1983年のこと。当時は観光バスをベースにした4列シートのハイデッカーが専用車として充てられましたが、3年後の1986年には独立3列シートのスーパーハイデッカーを導入。たった3年で置き換えは早くないか? という声もあろうかと思いますが、これは当時、 「ムーンライト」 は中国自動車道を経由しており (現在は山陽自動車道経由) 、中国自動車道では積雪区間もあることから、冬場になると融雪剤を散布していたんですって。この融雪剤はバスにとって大敵で、ボディを蝕んでいたことから、数年で代替されたという経緯があります。
当時の共同運行事業者だった阪急バスは、2003年に子会社の阪急観光バスに運行を移管して、さらに程なくしてショボいハイデッカーに成り下がってしまいましたが、これは日野セレガのタッパの高さに起因します。セレガは直結冷房式ですが、同車のアイデンティティでもあるクーラーユニットが阪急三番街の高さ制限を超越してしまい、スーパーハイデッカーだとあの高架下に入ることが出来ないことから、やむなくハイデッカーにした経緯があります。だったら、エアロクィーンを導入すれば良いじゃんかという声もありますが、阪急観光バスは日野がお好みのようであります。いずれにしても、一刻も早い梅田三番街の代替地を探して下さい。
一方、西鉄は白い車体色のスーパーハイデッカーを使用していますが、今もなお、 “西日本鉄道” が運行しています。画像の車は大阪だけでなく、名古屋や東京 (東京便 (はかた号) はちゃんとした専用車があるので、基本的には続行便扱い) にもやって来ますが、 「夜行専用車」 というのが素晴らしいですね。
近年、大手私鉄では経営の分離化を目的として、バス事業を次々と子会社化してきましたが、西鉄だけは一部を除いて鉄道会社直轄でバス事業を展開しており、これは大手私鉄の中でも唯一のことであります。
一方、西鉄は白い車体色のスーパーハイデッカーを使用していますが、今もなお、 “西日本鉄道” が運行しています。画像の車は大阪だけでなく、名古屋や東京 (東京便 (はかた号) はちゃんとした専用車があるので、基本的には続行便扱い) にもやって来ますが、 「夜行専用車」 というのが素晴らしいですね。
近年、大手私鉄では経営の分離化を目的として、バス事業を次々と子会社化してきましたが、西鉄だけは一部を除いて鉄道会社直轄でバス事業を展開しており、これは大手私鉄の中でも唯一のことであります。
さて、西鉄バスは子会社にバスボディ製造会社 (西日本車体工業) があることから、ほぼ99%、西工ボディを架装した車を導入していますが、日産ディーゼル (→UDトラックス) と三菱ふそうを交えた禁断の三角関係のもつれによって、2010年に会社を解散せざるを得なくなってしまった苦い経験を持っています。会社解散以降は、各社の標準ボディを架装しての導入となるのですが、画像の車は2008年式で、その頃はまだ西工は存在していました。しかし、当時の西工はそれこそUDと深い仲だったわけで、UDとの標準車体契約を結んでいました。よって、三菱や日野・いすゞ車についてはMFBMやJバスといった標準ボディを纏うことになりまして、業界内や趣味者の間では 「崩れた伝統」 として、かなり珍しがられたものです。
同型車ではないと思いますが、西鉄のMS9エアロクィーンは名古屋や新宿で撮ったことがあります。なかなか上手い具合に撮れず、今回初めて “まともに” 撮れたのではないかなって自画自賛しています。それはそれで良いんですが、やはりどうしても西鉄のバスというと、 「西工ボディを架装している」という先入観がありまして、あまり 「西鉄バスを撮っている」 という感じにはならないのも事実。
とは言うものの、昨年デビューした 「はかた」 号の新車や 「ライオンズ・エクスプレス」 は撮ってみたいですね・・・。
とは言うものの、昨年デビューした 「はかた」 号の新車や 「ライオンズ・エクスプレス」 は撮ってみたいですね・・・。
【参考文献】
ウィキペディア (西日本鉄道、ムーンライト号、阪急観光バス、三菱エアロエース、三菱ふそうバス製造)
ウィキペディア (西日本鉄道、ムーンライト号、阪急観光バス、三菱エアロエース、三菱ふそうバス製造)