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Channel: Club SKRAM ~もはねの小部屋~
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所有事業者:ジェイアールバス関東

仕様・用途:都市間夜行高速路線仕様(高速「ドリーム」号に充当)

登録番号:足立22 か 5530

社番:D670-98501号車

配置:東京支店

初年度登録:1998年

シャシーメーカー:アウベルダー社(※)

搭載エンジン:ダイムラーベンツOM441型

車体架装:ネオプラン社(※)

車両型式:N122/3

車名:ネオプラン・スカイライナー

撮影日:2008年9月21日(日曜日)

撮影場所:東京駅日本橋口

※・・もはね的便宜呼称


「そういえばこんな車、あったね・・・」
いつの間にかフェードアウトしたJRバスの輸入車。それもこれも、メガライナーが引き起こした炎上事故に端を発しているといっても過言ではありません。ただ、別の見方をすれば、ダイムラーベンツのエンジンは馬力とは裏腹に、メーカーが声高に誇張するほど高出力ではなく、長距離には向かないエンジンだという見解を示す人もいました。

「メガライナーのエンジンは古いダイムラーエンジン (1980年代から生産されているOM422のこと) をベースにしているから、基本的な設計は昔のままや。
元々、あのベンツエンジンは陸上選手に準えれば短距離選手。でも高速バスに必要なのは、やっぱりフルマラソン選手なみのスタミナやろ? そやから、最初から (高速路線バスに使うのは) 無理があるぅいうのは判っていたよ」

と語るのは、某貸切事業者でネオプランのバスを長年扱ってきた某メカニック氏 (故人) 。その腕を買われて、ヘッドハンティングされたことも数知れず。そのせいか、業界内に幅広い人脈を持ち、バス事業者やメーカーに色々と意見が言える人だったりします。
その話を聞いたのはもう10年以上前の話ですけど、メガライナーの登場当初はやはり、物珍しさもあって、乗車率もそれなりに良かったらしいです。でも、件のメカニック氏はその段階からJRバス ( 「メガドリーム」 を運行する関東と西日本) には 「止めた方がええんちゃう? エンジンがもたへんで」 と警鐘を鳴らしていたそうです。案の定、でしたね。

JRバス関東に限れば、1994年を最後に一旦、エアロキングの導入は見送られ、1999年から再開されますが、この空白の5年間でもエアロキングは生産されていました。しかし、何故ネオプランだったんでしょう? ネオプランが物珍しかったというわけではないし (メガライナーが物珍しかっただけ) 、でも、 「ベンツエンジンのバスに乗れる」 という羨望感や期待感を乗客に植え付けさせたかったからでしょうか?

今回の主役はネオプランですけど、JRバスの二階建てバスを語る際に、やっぱりエアロキングの存在は避けて通れません。空白の時期はあるにせよ、1991年から2010年の間に66台が導入されましたが、年々数を減らしているようで、毎日往復1,000km余りの距離を文字通り、高速で走るんだから、他の観光バスに比べれば寿命は短くなります。それでもメカニックの類い希な技術力・整備力によって、延命どころか元気ハツラツで車庫を出て行きますが、気がつけばハイデッカー車に置き換わって退役していきます。

もし、エアロキングが生産を再開したとしても、コストの関係で二階建てバスの導入は難しいかなと思いますが、やはり一度に沢山の乗客を運べるのが二階建てバスの大きな武器ですから、これを見過ごす手は無いと思います。エアロキングが生産していないご時世において、仮に導入を考えるのだとすれば輸入車ということになりますが、メガライナーでのトラウマがあるから、ネオプランはまず (候補から) 消えますよね。あとは、はとバスや東京ヤサカ観光バスが導入したバンホール/スカニア・アストロメガも可能性としては有りかなって気がします。エンジンの開発もはとバスが一枚噛んでいますし、どちらかといえば、最初から日本向けに造られたといっても過言ではありません。このエンジンをベースにした高速路線向けの新エンジンを搭載させれば、 (導入も) 夢ではないような気がしますが、開発コストを考えた時、JRバスは重い腰を上げるかどうか・・なんでしょう。

1980年代は絶大なインパクトを与えたネオプランですが、21世紀はその色も褪せてしまい、今では連節バスの 「セントロライナー」 が気を吐いているだけで、あとは貸切崩れのオープントップバスを時折見る程度。でも、ネオプランを多く導入している日の丸自動車興業なんかは、今でもネオプランがフラッグシップ扱いになっているので (間違ってもオープントップバスじゃないですよ) 、そういう意味では、使い方次第、あるいは21世紀の日本向けにオールニューの新型モデルを引っ提げれば、復権する可能性はゼロではありません。

なお、以前にもお話ししたかと思いますが、輸入車の多くはシャシーと車体は一括製造されているみたいで、国産車のようにエンジン屋さんと車体屋さんとで分別してバスを製造しているわけではありません。だから明確な 「シャシーメーカー」 と 「車体架装メーカー」 が無いです。ネオプラン一つ取っても、 「ネオプラン」 というブランド名ですら、企業名なのか単なるブランド名なのかハッキリとしないことがあります。それこそ、1980年代はアウベルダー社という会社が手かげたバスのブランドを 「ネオプラン」 と言っていたようですが、ネオプランは今、MANの子会社になっているので、それも当てはまりません。でも、 「もはねの小部屋」 では、敢えて、 「シャシー:アウベルダー、ボディ:ネオプラン」と便宜で呼称させていただきます。


【参考文献・引用】
バスラマインターナショナル No.135
BUSRAMA EXPRESS No.11 「The King -エアロキングの四半世紀- 」
(以上、ぽると出版社 刊)
バスマガジン Vol.30 (講談社ビーシー社 刊)
観光バスのページ
ウィキペディア (ネオプラン、ネオプランスカイライナー)

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