阪和線は関西で初めて103系が投入された線区です。大阪環状線でもなく、京阪神緩行線でもなく阪和線です。いわゆる “社形” の電車が多かった阪和線ですが、103系の投入によって新時代が訪れたのも束の間、阪和線に投入した103系の新車はこの時の24両と、それから12年後に投入された18両の合計42両だけで、大半が首都圏からの転属車でした。山手線と京浜東北線にATC準備工事仕様のクハをメインに、冷房を取り付けた新車を集中投入し、放出された非冷房の在来車を他線区に転配して、旧形車両を置き換えるというフローだったのですが、その矛先が中央線快速や阪和線、大阪環状線といった線区に特化していました。中央線快速の場合は、新車の103系も含まれていましたが、クモハ組み込みの在来車に冷房を取り付けて転属させ、そこで活躍していた101系を青梅線、五日市線、南武線等に転配して旧形車両を淘汰、大阪環状線にも101系が投入されていたので、103系を投入して101系を片町線や桜島線にもっていき、旧形車両を淘汰するというフローが昭和40年代後半から50年代前半にかけて繰り広げられていました。
さて、いよいよ大阪環状線に期待の新形電車、323系の初号車がお目見えしました。
これから数年かけて103系と201系を置き換えることになっています。全面置き換えは明日、明後日の話ではないのですが、今のJRにおける新車の置き換えペースは頗る早くなっているので、あれよあれよと言う間にあと十数両、あと数両、あと何両といった具合に、気がついたらもう指で数えられるだけの両数になっているのは珍しくも何ともありません。
こうなると、俄然注目を集めるのが関西本線 (大和路線) と阪和線なんですが、とりわけ阪和線は大注目です。
JR西日本吹田総合車両所日根野支所 (大ヒネ) に在籍しているクハ103-115と116が平成28年7月現在の103系最古参であり、最若番車であるのですが、とにかくあと2年頑張って欲しいのです。そうすれば、車齢50年という大金字塔を打ち立てるのです。しかも、単に50年ではありません。当時の鳳電車区 (天オト)から日根野への配置換えはあったものの、新製配置から一度も阪和線を離れていない稀有な車両なんです。
一口に車齢50年って言うけど、辺りを見回して、50年以上働いている車両ってありますか?
蒸気機関車とか阪堺電軌のモ160形など、数えるくらいしか存在しないと思いますし、SLも阪堺モ160も第一線は退いて、観光目的に余生を過ごしているにすぎません。そこへいくと、クハ103-115と116は今もなお、第一線で活躍している。これが大きいことなんです。因みに、阪和線103系の第一期生24両で、今も現役なのはこの2両しかありません。
阪和線にはかつて、首都圏から転属してきたクハ103-1と2が在籍していましたが、平成23年で引退しおり、その段階で車齢は47年。しかも、池袋→下十条→浦和→森ノ宮→日根野と配置換えを行っており (クハ103-2は池袋→下十条→鳳→日根野→淀川→宮原→日根野) 、一つの場所に腰を落ち着けられませんでした。一方、クハ103-115と116はそれを上回る48年となっていて、しかも前述のように鳳から日根野への転属記録はあっても、阪和線を離れていません。日根野電車区も元々は手狭になった鳳電車区の受け皿的電留線として発足し、昭和53年10月に鳳電車区の移転→日根野電車区の発足となっていることから、事実上、転属は無いといっても過言ではないんですよね。
そんな阪和線にも 「いよいよ新車?」 の噂が立っています。
いつ、どんな車両というのは発表されていませんが、大阪環状線325系の置き換えが一段落してからなのか、それとも、並行して行うのかは未知数。おそらく、325系に準じた3扉ロングシートの車両になるんじゃないかと予想していますが、とにかくあと2年、クハ103-115と116には頑張ってもらいたいです。そして本当に 「50th Arnniversary!」 になったら、皆でお祝いしたいですね。
来月の関西旅行の際には、クハ103-115と116は是非とも、撮りたいですね。
結構、阪和線の103系は撮っているんですけど、番号を見なかったから、ハッキリとした車番は判らないんです。
【画像提供】
は様
【参考文献・引用】
鉄道ファン No.541、665 (いずれも交友社 刊)
鉄道ダイヤ情報 No.387 (交通新聞社 刊)
キャンブックス 「103系物語」 (JTBパブリッシング社 刊)